生体材料工学研究所の教員は、東京医科歯科大学の附置研究所に所属していますが、同時に大学院医歯学総合研究科の教員も担当しています。当研究室では修士課程である医歯理工学専攻および博士課程である医歯学専攻・生命理工学専攻のいずれの専攻も担当しており、学生を受け入れています。医学部・歯学部は6年制のため、修士課程で入学される学生はすべて外部の大学から進学しています。出身大学は関東一円はもとより全国にわたっており、高等専門学校出身の学生さんもおられます。研究内容や以下の内容を参考に、当研究室に興味がある方は、まずメールでご連絡ください。研究室訪問は随時受け付けています。遠慮なく研究室にお越しください。
当研究室では物質(材料)を基盤とした医療技術の開発を目的としています。「再生医療」、「バイオマテリアル」、「細胞工学」などがキーワードです。当研究室に進むためにはどのような学問が必要か、とよく尋ねられますが、当研究室には上述のキーワードをバックグラウンドにもつ学生はほとんどいません。当研究室の研究領域はいわゆる境界領域といわれる分野です。あらゆる学問から知識を持ち寄って新しい学問領域を形成するために研究を行っています。そのため大学院を希望される学生には、いま学べることをきちんと身につけて欲しい、とお願いしています。必要な知識は研究室に入ってから身につければ大丈夫です。社会にでてから単一の知識や技能だけで一生を過ごすことはまずありません。研究を進めながら、いろいろな知識を整理し、自分なりのストーリーを紡ぐ能力、いわゆる「学ぶ能力」を養います。その際に大切なのは、未知の事柄に果敢に取り組む意欲と普段の継続的な努力です。幅広い知識と常識にとらわれない柔軟な発想力をもった研究者に成長してほしいと願っています。
実験は原則として月曜から金曜までとしています。研究テーマは学生と教員との十分なディスカッションの後に決定します。研究を進めるためにはモティべーションが大事ですから、できるだけ学生の要望に添うようにしています。基本的にひとりひとりが独立したテーマを担当します。日頃の研究ディスカッションに加えて、全員参加で以下のゼミを実施します。
一人あたりにすると、検討会は1ヶ月に二度、雑誌会は半年に一度のペースでまわってきます。これらを通じて、研究の遂行能力・プレゼン能力・英語力の向上と基礎知識の充実をはかります。ゼミの日程は学生や教員の予定を考慮したうえで半年ごとに決定します。新入生には、研究を実施するうえで必要な基礎知識に関する勉強会を実施します。
日本学術振興会の特別研究員制度などの金銭的な支援制度に積極的に応募しています。これらは毎年10倍ほどの競争率ですが、これまでに3名が当研究室から採用されています。
個人的なスケジュールは学生自身に任せています。セルフマネージメントは社会人としても重要なスキルです。アルバイト、個人旅行などは自らの責任に任せています。
研究活動以外では、BBQ、研究室旅行、研究所ソフトボール大会への参加などの様々な行事があります。学生の自主的な運営を尊重しています。
一定の成果が得られた学生には、国内外で開催される学会やシンポジウムでの発表を奨励しています。まずは日本語による発表を経験し、慣れてきたら英語によるポスター発表、さらに英語での口頭発表にチャレンジしていきます。研究に定期的に区切りをつけ、成果をまとめ、ひろく外部の意見をきくことによって、世界での自分の位置づけを確認することが出来ます。思いがけない質問や指摘を受けて思い悩んだり、高名な先生方に褒められたりして、その後の研究生活の大きな励みになります。人前で緊張しながら自らの研究成果を話すことが研究者としての登竜門ですし、実社会でもプレゼンテーションは必須の技能です。多くを経験することが上達の早道です。
研究者として最も大切なことは、得られた研究成果を世に問うことです。個人の知識を人類の共通知とする非常に重要なプロセスです。学会発表にもまして重要な手段は、最終的に学術論文として発表することです。今日の世界の共通言語である英語を用いて執筆することが通常ですが、修士課程の学生はまず日本語で修士論文を書き上げることを最低限の目標とします。博士課程の学生はもちろん英語の学術論文が必須ですが、博士課程への進学を志望する修士課程の学生の場合には、修士論文よりも前にできるだけ早い段階から自ら論文を書き上げる力を養成します。多くの学生がはじめて直面する難関ですが、志を高く掲げて取り組むべき課題です。はじめは気の遠くなる作業と感じるかもしれませんが、きちんとした論文を書く力を身に付けることが一人前の研究者を目指すためには必要なことです。
当研究室の卒業生の進路は、三菱化学メディエンス、塩野義製薬、ミシュランリサーチアジア、大塚薬品などの民間企業や独立行政法人医薬品・医療機器総合機構に学生を送り出しています。博士取得者は札幌医科大学、京都大学、当研究室などでポスドクに就いており、今後、大学や民間企業などへの就職を目指しています。
当研究室に進学する学生は、皆、卒業研究を行った大学・研究室を飛び出してきた人たちです。多くの学生が卒業研究を行った研究室に進学するなかで、他人と異なった決断をしたことに対して敬意を表します。その決断をしたときの気持ちを大事にしてほしいと思います。世の中には困難なことがあふれていて、気持ちが萎える日もあります。でも大概の喜びは困難を乗り越えたところにあります。研究を通じて、知力はもちろんのこと、何事にも負けない強い精神力を身につけてほしいと思っています。当研究室は人間形成、人脈作りを大切に考えています。決して十把一絡げ、使い捨てのような指導はしません。研究室内はもちろんですが、他大学の先生や学生、民間企業の研究者などとの交流も積極的に行っています。新しい世界を自らの力で開拓したい、とことん研究に没頭したい、人の役に立つことをしたい、こんな人は是非とも当研究室を志望してください。取り組むべき課題はたくさんありますが、患者さんの笑顔を取り戻すため、一緒にチャレンジしましょう!